私はこれまでトレーニング指導に7年以上携わり、数百人以上の方と関わる中で強く感じるのは、「正しい栄養知識が運動成果を大きく左右する」ということです。
カロリー制限しているのに成果が出ない、ダイエットしてもリバウンドしてしまう。その多くは「三大栄養素のバランス」を理解できていないことが原因です。今回は、私の指導経験を踏まえて 三大栄養素(PFC)の役割とバランスの取り方 を解説します。
1. 三大栄養素とは?
人間が活動するためのエネルギー源となるのが「三大栄養素」=炭水化物・タンパク質・脂質です。
筋肉や体脂肪、ホルモンや脳の働きまで、すべてがこれらの栄養素によって支えられています。
指導していると、「糖質は悪」「脂質は太る」といった極端なイメージを持つ方がとても多いのですが、実際はどの栄養素も欠かせないものです。大切なのは“どれをどのくらい摂るか”、つまり PFCバランス です。
2. 三大栄養素それぞれの役割
タンパク質(Protein)
- 体をつくる材料(筋肉、臓器、皮膚、髪、爪など)
- 1g=4kcal
- 不足すると筋肉分解、免疫力低下、疲労感
👉 体重1kgあたり1.5〜2gを目安に摂ると効果的。
脂質(Fat)
- ホルモンや細胞膜の材料、ビタミンの吸収を助ける
- 1g=9kcal
- 不足するとホルモンバランスの乱れ、肌荒れ、疲労感
👉 質の良い脂を選ぶのがポイント。
炭水化物(Carbohydrate)
- 脳と体を動かす主要エネルギー源
- 1g=4kcal
- 不足すると集中力低下、疲労感、筋肉分解
👉 運動前後のタイミングで摂るとパフォーマンスが上がる。
3. PFCバランスとは?
PFCバランスとは、1日の摂取カロリーを P(タンパク質)・F(脂質)・C(炭水化物) の比率で管理する考え方です。
厚生労働省の指標では以下の範囲が推奨されています。
- タンパク質:13〜20%
- 脂質:20〜30%
- 炭水化物:50〜65%
例えば、1日2000kcalを摂る場合:
- タンパク質:260〜400kcal(65〜100g)
- 脂質:400〜600kcal(44〜67g)
- 炭水化物:1000〜1300kcal(250〜325g)
1日にあなたが必要なカロリーについては下記に詳しくまとめていますので確認してみてください!
4. 目的別のPFC調整
ダイエットしたい方
- タンパク質:25〜30%
- 脂質:20〜25%
- 炭水化物:45〜55%
筋肉を増やしたい方
- タンパク質:20〜25%
- 脂質:20〜25%
- 炭水化物:50〜55%
健康維持したい方
- タンパク質:15〜20%
- 脂質:25〜30%
- 炭水化物:50〜60%
5. PFCバランスを整えるための実践ポイント
- 毎食にタンパク質を入れる
→ 肉・魚・卵・大豆を中心に。 - 脂質は“質”を選ぶ
→ 揚げ物よりも魚やナッツから。 - 炭水化物はタイミングを意識
→ 運動前後は特に重要。 - アプリで記録する
→ 「あすけん」「MyFitnessPal」などを活用。 - 食材は偏らせず多様に摂る
→ タンパク質なら鶏肉ばかりではなく、魚・卵・大豆・乳製品など。脂質もナッツや魚油、オリーブオイルなど複数から。 - 自分の体調に合うか確認する
→ 一般的に「体に良い」と言われる食材でも、人によって合わないことがあります。目安は 3週間。続けて体調が悪いと感じるなら、その食材は控える方が良いです。
6. おすすめ食材リスト
タンパク質
- 鶏むね肉、鶏ささみ
- 魚(鮭・サバ・マグロ)
- 卵
- 豆腐・納豆・大豆製品
- ギリシャヨーグルト、低脂肪乳
脂質
- 青魚(サバ・イワシ・サンマ)
- アーモンド・クルミ
- アボカド
- オリーブオイル・えごま油
- チーズ(適量)
炭水化物
- ご飯(玄米・白米)
- オートミール
- さつまいも・じゃがいも
- 全粒粉パン
- 果物(バナナ・りんごなど)
7. まとめ|栄養バランスは「継続できる形」で
三大栄養素は、どれかをゼロにするものではなく、自分の目的に合わせて調整するものです。
さらに大切なのは、 同じ食材に偏らず、色々な食品から栄養を取り入れること。
私はこれまで、初心者からアスリート、モデルの方まで多くの方をサポートしてきましたが、成果を出す方に共通するのは「無理のないPFCバランス」と「自分の体に合う食材選び」を習慣化していることです。
食事は一生続くもの。だからこそ、極端な制限や「これさえ食べれば良い」という発想ではなく、多様な食材を取り入れつつ、体の反応を見ながら調整すること が成功のカギです。
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